Irmin Schmidt – keyboards, vocals
Michael Karoli – guitar, vocals, violin
Jaki Liebezeit – drums, percussion
Holger Czukay – bass guitar, sound engineer, electronics, vocals, french horn
Damo Suzuki – vocals
1968年西ドイツで結成。
"Irmin Schmidt"はアカデミックな音楽教育を受けていて、現代音楽の巨匠"John Cage"
”Steve Reich”らと共演するなど若手現代音楽家として注目されていました。
"Holger Czukay"は高校の音楽教師としてスイスで教鞭につくなど実にアカデミックな背景を持っています。
共通してドイツの現代音楽作曲家”Karlheinz Stockhausen”に学んだり影響を受けました。”Stockhausen”は電子音楽の開祖です。
ドラムの”Jaki Liebezeit”はトランペットの”Chet Baker”とも共演しフリー・ジャズに興味を持ち演奏していた、ジャズ経験の高いドラマーでした。
彼らがつくった音楽に”Damo Suzuki”がフリースタイルでヴォーカルをのせるという音楽は聴いての通り、Acid JazzやHipHopなどのLoop楽曲のスタイルと共通します。
ELP,Genesis,Camel,Caravan,など整合のとれた和声の抒情的な音楽はある意味、クラシック音楽の分野のバロック、ロマン派、印象派の作品との共通性があります。
その後、現代音楽として管弦楽の世界では新ウィーン楽派などが現れます。それと"CAN"の存在が音楽の発展の有様として重なるように思えるのです。
クラシック音楽の現代音楽では”無調音楽””十二音階技法”と新たな方法論、新たな手法といった”方法論”に目が行ってしまいますが、それらが表現したかったのは
『人間に内在する精神の複層性』であり『底知れぬ情感の泉』といった
現代人の精神世界の広がりでした。
ジャズでいえば、バップがファンキーになりモードになりフリージャズに広がっていたのと同じことです。
CANの音楽はただ自由奔放に放出するフリーミュージックではなく、
『作曲』された作品です。それは彼らが作曲を学んだから生まれたのですが、
『作曲』とは発想~インプロビゼイション~のことではなく、
~編集~する作業です。『作曲の基礎技法』を著した”Arnold Schönberg”の言葉でいうならば『変奏』することなのです。
CANの作品つまり発想を現代社会の熱を受けて再構築した彼らの音楽は現代にも通じる”pop"なものになっています。
あたかもグラフィックスの世界での”Andy Warhol”の『pop-art』と通じる世界です。
彼の活動が表舞台に出てきたのは1964年以降ですから、"Schmidt"たちはその洗礼を受けています。
もう一人重要な人物、日本人の"Damo Suzuki"ですが、彼の即興的なヴォーカルスタイルが後の”Punk Rock”,”Post-punk”,”Alternative Rock”に影響を与えたと言われています。”The Jesus and Mary Chain”,”Radiohead”などがCANの曲をカバーしています。
1986年
”The Jesus and Mary Chain”の
”Mushroom”