アルバム"New Moon Daughter"収録
Cassandra Wilson - Vocal
Brandon Ross - Acoustic Guitar
Kevin Breit - Acoustic Guitar, Resonator Guitar
Dougie Bowne - Drums
Cyro Baptista - Percussion
Written by Cassandra Wilson
"Cassandra Wilson"の父はプロのジャズミュージシャンであり、母はモータウンを愛する
小学校の先生でした。
祖先にナイジェリアとアイリッシュの両方をもち、音楽に囲まれる環境の中で
育ちましたが、大学では
メディア系の学部で学びつつも、大学以外の時間は街中のお店で
ブルースやソウルを歌い続けていたようです。
"Cassandra"は大学を卒業して、
1981年に"New Orleans"でTV局のディレクター職に就くのですが、
"New Orleans"は何しろジャズのメッカです。
土地のジャズ界の先輩たちとの交流の中で彼女が音楽家として生きること
を決めるのに時間はかかりませんでした。
メディア界の仕事を捨て、職に就いた翌年に"New York"に移ってしまったのです。
"New York"に移った"Cassandra"はジャズの創造性により惹かれていき
多くのミュージシャンと出会い学び、歌い、自らの環境を自分で広げていきました。
そんな中で彼女はSaxの"Steve Coleman"と出会います。
彼は ジャズドラマー"Roy Haynes"の息子である作曲家"Graham Haynes"や
作曲家でピアニストの"Geri Allen"などの先鋭的ミュージシャンたちと
"M-Base"と呼ばれる活動の中心メンバーとして音楽活動を続けます。
リーダー的存在であった"Steve Coleman"によると
"M-Base"とは
1.即興と構造~弾きっぱなしではなく作曲的視点をもつということ~
2.社会との関連性~生きる社会と無縁ではないということ~
3.人生経験の表現としての音楽~人間の営みを尊重すること~
4.創造性と哲学的広がりによる成長~人間の根源的な本能にながされない~
5.非西洋の概念の使用~民族の多様性の尊重~
これらを活動の指針として
音楽が介在するアート、踊りや詩、グラフィックなども含め
ジャンルや型にはめた考えではなく発展的に文化を創造するということを
目的としたのだと、語っています。
1996年イタリアで行われた演奏です。
Cassandra Wilson - vocal
Marvin Sewel - guitar
Anthony Michael Peterson - guitar
Lonnie Plaxico - bass
Fred Alias - drums
Jeff Hynes - percussion
"M-Base"の創設者のひとりである"Cassandra Wilson"の作品が
シンプルな"neo-classical jazz"にもイージーな"Smooth Jazz"にも
なり得ないのも当然なのです。
決していわゆる”ストレートアヘッドジャズ”~バップジャズの継承者~を
私も否定するわけではありません。
例えば"keith Jarret" の作品には彼ならではの美しさが溢れています。
ただ"keith"のソロピアノシリーズなどを考えたとき、
あのようなアプローチは"keith Jarret"という個人の感性すべてを
徹底的に放出しているものです。
それに対して"Cassandra”の音楽は、彼女の個性の追求が基本にありつつも、
"M-Base"の理念である"社会との関連性"を意識することで
他者との"連帯"にむいているのであり、そこに
"優しさ"が感じられるのです。
この曲は"Cassandra”の筆によるものです。
彼女もまた素晴らしい作曲家です。
アルバム"New Moon Daughter"によって彼女は
最初の"Grammy"賞を受賞しました。
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