名曲千夜一夜物語-689~"Tom Traubert's Blues"-Tom Waits-1976


アルバム"Small Change"収録

Tom Waits - vocals, piano

Jim Hughart – bass


Bones Howe – producer, engineer, mixing




<Violin>Harry Bluestone, Israel Baker, Nathan Kaproff, Nathan Ross, George Kast, Murray Adler, Marvin Limonick, Alfred Lustgarten, Sheldon Sanov.

<Viola>Sam Boghossian, David Schwartz, Allan Harshman.

<Cello>Kathleen Lustgarten, Ray Kelley, Jesse Ehrlich.


"Tom Waits"がデビューした時のレコード会社は"Asylum Records"といい、

ここで"Tom"は73s~80sの間に7枚のアルバムを制作していますが、

どれもが名盤名曲揃いで彼の"origin"といってよいでしょう。

最初の3枚は粗削りの感じはありますが、4枚目のこのアルバム"Small Change"で

彼のスタイルが明確にカタチになった感覚があります。


因みに"Asylum Records"の創設者は

後に"Geffen Records"を立ち上げた"David Geffen"と

多くのレジェンドアーティストの制作を支えた名マネージャとして知られる

"Elliot Roberts"であり、彼に支えられたアーティストには

"Neil Young", "Joni Mitchell", "Crosby, Stills and Nash"

が含まれるのです。


1977年ドイツでのライブ演奏です。

Tom Waits – vocals, piano

Jim Hughart – bass






<Tom Traubert's Blues - Tom Waits>


Wasted and wounded,

it ain't what the moon did,

I've got what I paid for now

See you tomorrow, hey Frank,

can I borrow a couple of bucks from you


疲れ果ててケガしちまった

月が出てたからなんて言わねえよ

今になってツケがまわってきただけさ

明日会おう なあ フランク

2ドルばかし貸してくんねえか


To go waltzing Mathilda,

waltzing Mathilda,

You'll go waltzing Mathilda with me

 フラッと旅に出るんだ

 ウォルチング・マチルダさ

 おまえも俺と一緒に行かないか


I'm an innocent victim of a blinded alley

And I'm tired of all these soldiers here

No one speaks English,

and everything's broken,

and my Stacys are soaking wet

 俺は行き止まりに迷い込んだ罪のない犠牲者

 ここいらの兵士たちにはもう飽き飽きだ

 誰も英語をしゃべらないし

 なにもかもめちゃくちゃだ

 俺の靴もすっかり濡れちまった


To go waltzing Mathilda,

waltzing Mathilda,

You'll go waltzing Mathilda with me

フラッと旅に出よう

あてのない旅さ

おまえも俺と一緒に行かないか...


Now the dogs are barking

and the taxi cab's parking

A lot they can do for me

I begged you to stab me,

you tore my shirt open,

And I'm down on my knees tonight

Old Bushmill's I staggered,

you'd bury the dagger

In your silhouette window light go

 犬は吠え タクシーが停まってる

 ヤツらも俺にできることがたくさんあるのにな

 俺を刺してくれってお願いしたら

 俺のシャツを破きやがった

 だから今夜 俺はやめてくれって頼んでるのさ

 オールド・ブッシュミルを煽ってふらふらだ

 窓に映る おまえのシルエットに

 おまえは短剣を突き刺したんだ


To go waltzing Mathilda,

waltzing Mathilda,

You'll go waltzing Mathilda with me

 旅にフラッと出るんだ

 あてのない旅に

 おまえも俺と一緒に旅に出ようぜ


Now I lost my Saint Christopher now

that I've kissed her

And the one-armed bandit knows

And the maverick Chinamen,

and the cold-blooded signs,

And the girls down by the strip-tease shows,

 何度もキスした聖クリストファーのペンダントを

 失くしちまった

 知ってるのはスロット・マシーンってことさ

 それに 一匹オオカミの中国人 冷酷にぶら下がる看板

 そしてストリップショーの女たち


go

Waltzing Mathilda,

waltzing Mathilda,

You'll go waltzing Mathilda with me

 行こうぜ

 知らないところへ 

 束縛されない生き方さ

 おまえも俺と一緒にどうだい


No, I don't want your sympathy,

the fugitives say

That the streets aren't for dreaming now

And manslaughter dragnets

and the ghosts that sell memories,

They want a piece of the action anyhow

 いや同情なんかはいらない

 逃げたヤツらはそう言ってる

 今やストリートに未来なんてないって

 殺人犯の捜査網 想い出を売る幽霊たち

 ヤツらはとにかく分け前が欲しいだけなんだ


Go waltzing Mathilda,

waltzing Mathilda,

You'll go waltzing Mathilda with me

行こうぜ 知らないところへ 

 束縛されない生き方さ

おまえも俺と一緒にどうだい


And you can ask any sailor,

and the keys from the jailor,

And the old men in wheelchairs know

And Mathilda's the defendant,

she killed about a hundred,

And she follows wherever you may go

 どの船乗りにも聞いてみろよ

 鍵は看守が持ってんだ

 車椅子のじいさんがご存じのことさ

 マチルダが被告で 

 彼女が100人も殺したって

 どこに行こうと 付いてくるんだ


Waltzing Mathilda,

waltzing Mathilda,

You'll go waltzing Mathilda with me

 知らないところへ 

 束縛されない生き方さ

 俺と一緒に夢を追いかけないか


And it's a battered old suitcase

to a hotel someplace,

And a wound that will never heal

No prima donna, the perfume is on

An old shirt that is stained

with blood and whiskey

And goodnight to the street sweepers,

the night watchmen flame keepers


And goodnight to Mathilda, too


 ぼろぼろのスーツケースを持って

 どこかのホテルに出かけよう

 治ることの決してない傷がついたままで…

 香水をつけたプリマドンナなんていない

 あるのは血とウイスキーが染みついた古いシャツだけ

 おやすみを言おう

 通りの掃除人 夜回りの警備人に


そしてマチルダにも おやすみ…

 

この曲には"Tom"のコメントがあります。


◆Tom Traubertとは誰?

…ヤツは俺の友だちだったんだ…デンバーに住んでいて、牢屋の中で死んじまった。

この曲はいろんな意味を持たせてる。

でも一番のアイデアは"Matilda"はバックパックだから、あてがなくても出て行こうってことだ(go on the loose)

旅に出ろ、夢を追いかけるがいい"ってことなんだ。

 

"waltzing Mathilda"という言葉はオーストラリアに元を持つ歌をさしています。

マチルダは「寝袋など寝具が束になったもの」であって音楽ワルツではありません。

身寄りのない一人で寝具だけを持ち放浪放浪に出ようということを意味しているようです。


このアルバム"Small Change"は、

演奏は直接ステレオのテープレコーダーに

録音するという、

50年代のジャズのレコード制作と同じ方法が

とられました。


70年代中期ともなると

多チャンネルのレコーダーを使って

音を重ねたり、部分的に修正するなどが

主流となっていましたが、

そんな中で人間が集まって一度に演奏して仕上げる

その手法にこだわったところに

彼の"最高の演奏~パフォーマンス~には本気の想いが重要だ”

という姿勢を感じることができます。


そしてそれこそが真に聴く人の心を打つものだということは

私も長い制作の中で体験してきました。

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