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名曲千夜一夜物語-442~"Englishman in New York"-Sting-1987

執筆者の写真: jazzdrumclubjazzdrumclub


アルバム"...Nothing Like the Sun"収録

Sting – vocals,bass,guitar

Manu Katché – drums

Kenny Kirkland – keyboards

Mino Cinelu – percussion, vocoder

Branford Marsalis – saxophone

written by Sting


"Sting"を代表する曲としてよく知られている曲です。

英国人と米国人の違いを歌ったウイットに満ちた曲かと思いきや

そうではなくて、これは人間の多様性と人権を歌った歌なのです。


-Englishman in New York-


I don’t drink coffee, I take tea my dear

I like my toast done on one side

And you can hear it in my accent when I talk

I’m an Englishman in New York

コーヒーは飲まない、紅茶がほしいんだ

パンは片面焼きを好む

話している時の私の 英国訛りでわかるだろ

私はニューヨークに住む英国人なんだ


See me walking down Fifth Avenue

A walking cane here at my side

I take it everywhere I walk

I’m an Englishman in New York

見てごらん、(ニューヨーク)五番街を歩く私を

ステッキを持っているだろう

私はどこに行くのも持ち歩くんだ

そう、私はニューヨークに住む英国人なんだ


I’m an alien I’m a legal alien

I’m an Englishman in New York

I’m an alien I’m a legal alien

I’m an Englishman in New York

私は異邦人、合法的な異邦人

私はニューヨークに住む英国人なんだ

私は異邦人、合法的な異邦人

私はニューヨークに住む英国人なんだ


If, “Manners maketh man” as someone said

Then he’s the hero of the day

It takes a man to suffer ignorance and smile

It takes a man to suffer ignorance and smile

Be yourself no matter what they say

もし、誰かが言ったように「礼節が人を作る」というのなら

彼は今日の英雄である。

英国紳士なら無知に耐え、笑顔をつくりなさい

英国紳士なら無知に耐え、笑顔をつくりなさい

誰に何を言われようが、自分らしくいることだ


I’m an alien I’m a legal alien

I’m an Englishman in New York

I’m an alien I’m a legal alien

I’m an Englishman in New York

私は異邦人、合法的な異邦人

私はニューヨークに住む英国人なんだ

私は異邦人、合法的な異邦人

私はニューヨークに住む英国人なんだ


Modesty, propriety can lead to notoriety

You could end up as the only one

Gentleness, sobriety are rare in this society

At night a candle’s brighter than the sun

謙虚さや礼儀正しさは自分の為にならないことがある

でも、きっと最後には一目おかれる立場になっている

親切や節度を守ることは、現在の社会ではめずらしいこと

夜には、昼に目立たないロウソクも

太陽よりも光輝く存在になるのだ


Takes more than combat gear to make a man

Takes more than a license for a gun

Confront your enemies, avoid them when you can

A gentleman will walk but never run

紳士になるには、戦闘服だけでは足りない

銃のライセンスよりも大事なものがある

君の敵が前に立ちはだかるのなら、出来る限り避けなさい

紳士とは歩くものであって、走ることではないのだ


If, “Manners maketh man” as someone said

Then he’s the hero of the day

It takes a man to suffer ignorance and smile

Be yourself no matter what they say

もし、誰かが言ったように「礼節が人を作る」というのなら

彼は英雄と称えられる人である

英国紳士なら無知に耐え、笑顔をつくりなさい

誰が何を言おうが、自分らしく生きるんだ


I’m an alien I’m a legal alien

I’m an Englishman in New York

I’m an alien I’m a legal alien

I’m an Englishman in New York

私は異邦人、合法的な異邦人

私はニューヨークに住む英国人なんだ

私は異邦人、合法的な異邦人

私はニューヨークに住む英国人なんだ


映像で全編を通して登場する上品な高齢の紳士は

英国の作家でありアーティストの"Quentin Crisp"氏です。


1908年に生まれ30年代から自分の肉体的性と感情的性の不一致を意識し自分の感情に正直に化粧や女性的ファッションを嗜好し

モデルを含めアーティストとして生きてきた人です。

1981年からニューヨークに移り住みました。


1986年ニューヨークの彼の元を訪れ

彼の生涯におこった様々な出来事の話を聞き、

この曲をかくことを決意したんだ、と"Sting"は言います。


"Quentin Crisp"は同性愛者であったと言われることが多く見られますが

そうではなく、性同一性障害で本人は女性であると自覚していたというのが

事実のようです。


"Sting"は彼との交流の中から

『Be yourself no matter what they say』と自ら自由を確保する大切さを

提案しています。


Sting - vocal, bass

Dominic Miller - guitar

Vinnie Colaiuta - drums

David Sancious - piano





1993年のシカゴでのセッションです。


"Sting"は教育学を学び2年間だけですが、小学校で子供たちを教えています。

きっと教師としてもその道を選択すれば、影響力をもつ人物になれただろう

とそのような気がします。


英国では1967年までイングランドとウエールズで同性愛は違法であり、

スコットランドでは1980年、アイルランドでは1982年まで違法だったのです。

多くの人がそのもとで罰せられ収監されました。

その国家の行為が間違いだったとされたのはなんと、2013年です。


"Quentin Crisp"も同性愛には批判的でした。

つまり彼は肉体的に男性であっても本質は女性であったからです。

具体的に詰めていくと数々の無知と無理解、誤解が生じる案件ですが、

カテゴライズ~分離分断~に気を向けるのではなく

すべての人に自由と平等を担保すれば良いだけのこと。


"Sting"は英国の労働者階級の生まれで、移民が多い造船所のある町で育ち、

父親の牛乳配達を手伝い、ご褒美にギターを教えてもらう、

という少年時代を過ごしています。

その過ごしてきた日々の中で身をもって感じてきた社会の問題に

今真剣に発言しているのだと感じるのです。

その意味では"U2"の"Bono"と通じる何かを感じさせます。


この曲でピアノを演奏している"Kenny Kirkland"も

"Sting"の作品制作に欠かせない相棒です。


不幸にして1998年43歳で亡くなってしまいましたが

多くのアーティストに愛されたプレイヤーです。

彼はジャズのフィールドでも素晴らしい軌跡を遺しています。

次回は彼に迫ります。

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